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最近その存在を知り、気になっていた本です。

文庫化を待ちきれず、ハードカバーで手中に!^^

石田徹也さんのカバー絵にも惹かれていたので、ハードカバーで欲しかったんです!(^-^)


以前テレビで石田徹也さんの特集をやっていて、また芸術系の雑誌にも石田さんが取り上げられていて、強烈に印象に残りました。
もう亡くなられているということも、いっそう印象に残ったのかもしれません。

この本のカバー絵は、「燃料補給のような食事」というタイトルだそうです。
現代の風刺のようにブラックな、それでいて不思議な絵をたくさん残されています。
美術館で原画をいつか見てみたいなあ。


ちょっと話がそれました^^;


どんな話なのかというと、タイトルから連想できるように、主人公が誤って他人の携帯を持ち帰ってしまい、出来心で俺俺詐欺(今では振り込め詐欺ですね)をするところから始まります。

でも俺俺詐欺のくだりは、ほんの序盤の話。
その後の展開が凄まじいんです。

持ち帰った他人の携帯は、主人公と同じ30歳くらいの男の物で、主人公にすっかり騙された母親はなんと、主人公の家にやって来ます。
おかしいのは、面と向かって話をしても、その母親がいっこうに自分の息子じゃないと気がつかないこと。だって、赤の他人のはずなのに!

仕方なく話を合わせることになった主人公は、思いついて自分の実家に帰ってみます。

すると今度は、実の母親が主人公を本当の息子だと気がついてくれない。
その家の息子としていた人物は、「もう一人の俺」とでも言うべき男。

それを期に、主人公の周りには「俺」、すなわち別の自分が増殖していくのです…

本当、カバーの絵が小説の世界観に合いすぎます。



これは怖い小説です。
何が怖いかと言うと、社会の中での「自分の存在の希薄さ」が切実に書かれているからです。

自分がいなくても代わりがいれば、何の支障もきたさない世界。

会社でも家庭でも、代わりがいれば日常が回っていく。

嫌なこと、考えたくないことは見ないようにして、次々なかったことになっていく。


この小説はすごくとっぴな話ですが、現実の社会と切っても切れない話だと思います。

今の社会、つまり日本人が抱えている様々な問題が、この本には詰まっています。

「こんなこと起こるわけないじゃん」なんて言わないで、いろんな人に読んでほしいです。

最後の方の文は、作者の星野さん自身の声なのではと思えて仕方がありませんでした。

最後が希望のある終わり方だったのは、人間に希望を持っていたいからだと感じました。

これほど言いたいことがはっきり伝わってくる本は、最近読んだ中ではこれが間違いなくナンバーワンです。


人間は誰でも、誰かに必要とされたい。

嫌なことや向き合いたくないことを無視し続けていると、いつかは自分に返ってくるんだよ、と言われた気がしました。


今年最後に、いい本が読めてよかった。

ぜひ読んでみて下さい。

「俺俺」。
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2010.12.29 | 読書 | Comment:0 | TrackBack:0
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