上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- | スポンサー広告 |
 『ときどき、生きていることに飽いたのね。女はそっけなく答える。朝から晩まであくせく働いて、あくせくしていることにも気づかないで、自分が何によろこぶのかも知らず、ひとの心の奥を感じることもなく、自分に心の奥があることにも気づかず、ただ時間をすごしていた、そのことに、飽いたのね。』

川上弘美の「真鶴」という小説を読んでいて、怖いなあと思った文章です。怖いと思ったのはたぶん、心あたりがあるから。
こういうどきりとする表現に出会える読書は良いです。ぐんぐん引き込まれていく感じが好き。
「あかるいさみしさ」という表現も出てきて、とても気になりました。聞きなれない言葉。

 川上さんの文はひらがなの割合が多いので、一見やわらかい印象なんですが、この小説を読んでいて感じるのは、生きている不穏さというか、穏やかで静かな日々のすぐとなりに、あの世めいた気配が存在してるとか、そんなようなことです。この方の「蛇を踏む」って作品を読んだときも同じことを思ったんですが、現代を舞台にしてるのに、昔話風というか、御伽噺を読んでるような気分になるのです。
 やさしげな言葉でするする綴られていく不穏なお話。


自分が惹かれるものにはどこか「怖さ」を含んだものが多いなあ、ってよく思います。血がブシューみたいな、そういうものじゃなく、もっと見なれない、得体の知れないものとか、ひっそりとした怖さ。謎めいてると感じるものも好きだけど、全貌がわかってしまうと途端に冷めるかも・・・だから、わかりやすくて全部を説明してくれるような小説や映画は自分からあまり手を出さないのか、と思ったり。

なんだか抽象的な文になりました。。
スポンサーサイト
2015.01.30 | 読書 | Comment:0 | TrackBack:0
このブログで本の感想をずっと書いてなかったのですが、面白い読書ができたので久々に感想なぞ書こうと思います。

昔から推理小説というものを本当に読まない人間なのですが、気分を変えて普段読まないような本を読みたい、と古本屋で買ってきたのが、森博嗣さんの『有限と微小のパン』という小説です。
S&Mシリーズという有名なシリーズの1作…というか、手にしたところがいきなりシリーズ最終章だった、っていうなかなかのドジを踏みましたが(笑)、900ページ近くある厚さなのに関わらず、すいすい読んでしまいました。こんなに夢中になって小説を読んだのはとても久しぶりでした。(ちょうど今テレビの方で「すべてがFになる」のドラマがやってるっていうのもちらっと頭の片隅にあったことは確かですが・・・というよりもドラマの冒頭を見ていたので、すんなり小説に入っていくことができたのでよかったかも)

なんでしょう、、、お話としてはすごく理系に寄っているのですが、理系科目が苦手でしょうがなかった私でもかなり読みやすかったです。数学的な話やコンピュータの話が何度も出てくるし、物事を合理的に考えよう、処理しようという場面がたくさんあるけれど、不思議と冷たい印象は受けず、コンピュータやロボット、バーチャルリアリティから翻って人間ってなんだろうって読みながらたくさん考えさせられました。
このシリーズの登場人物の真賀田四季博士に私はすごく興味を惹かれたんですが、その時点でもうこの小説を面白く読める気がしてしまうほど、強烈なインパクトが真賀田博士にはありました。

ミステリーのドラマなんか見ても、私は登場人物と一緒に事件を推理したりせず(そもそも推理できない)、ただただ見てるだけっていうスタンスなんですが、この小説はトリックがメインというよりも、登場人物のやりとりや(特に真賀田四季が出てくる場面の登場人物の会話など)、彼らが事件を通して考えたり語ったりすることがとても面白く興味深く、こちらの好奇心を刺激されるというか、そういう部分が魅力的でした。読みながら、思わず線を引っ張ってしまった箇所があるほど(笑)
印象的だった言葉はたくさんあるんですが、そのなかの「天才の定義」について書かれたところで、少し思うところを書きます。


真賀田博士は世界を震撼させた天才プログラマとして作中に出てくるわけですが、博士を自分の経営する会社に匿っている塙理生哉(はなわ りきや)という人物が「天才とはどういうものなのか」を、以下のように語る部分があります。

『…人格が混ざっていない。人格だけじゃない、すべての概念、価値観が混ざっていないのです。善と悪、正と偽、明と暗。人は普通、これらの両極の概念の狭間にあって、自分の位置を探そうとします。自分の居場所は一つだと信じ、中庸を求め、妥協する。けれど、彼ら天才はそれをしない。両極に同時に存在することが可能だからです』

『目に見える自分の躰が一つしかない、そこから、生命は一つという概念が生まれます。死ぬときには躰全部が一緒だと規定する。だから、生きているときも一人。その錯覚が、人間の能力を規制する。制限するのです。悲しいときには、楽しんではいけない。怒っているときは、嬉しくない。良いと決めたら、もう悪くはない。より新しい情報で、古い情報を書き換える。 (略) この単純化を伴う統合に、自らの能力を抑制する。それが普通の人間です。ところが、彼ら天才はそれをしない。それが不合理で不自由だと、子供のときから知っているからです』

…なんだか難しい話ですが、要は、人間というのは内にさまざまな自分を持ってはいるけれど、ふつうはそれら全部を把握していることができないから、「この一人が自分なのだ」と決めておくことで状態をわかりやすくしている。そのことが個人の能力を狭めてしまっている、ということかなあ、と解釈しました。
あらゆる物事を単純にして、わかりやすくしないと、多くの人に伝えることができないから、世の中はそのように成り立っている、という話も出てきました。それがいわゆる「常識」と呼ばれるものなんでしょう。天才はあらゆることを単純化しなくても認識でき、常識を簡単に飛び越える、ということらしいです。

確かに、「物事を一つに決める」というのは、生きている上で楽なんだろうなあと思います。固定して、動かないようにしてしまえば、それ以上考えることがない。思考することが止まるからです。
でも、動かないよう固定してしまうことで、たくさんのものが見えなくなってしまうということが想像できます。

上に引用したセリフの内容がどうして気になってしまったのかというと、実際、自分も歳をとって、生きている時間が少しずつ長くなる上で、常識を受け入れて、物事をこういうものだって決めつけて、生きていくうえで役に立たなそうなことに価値を見いだせなくなってきたという実感がものすごくあるからだと思います。


おおまかに言うとですが、この小説の中で、自分は一人だ、(物事の)意味は一つだ、と決めつけずに、あらゆることを受け入れられるのが天才である、ということになるわけですが、天才はもしかすると、子供にとても近いところにいるんじゃないかと、ふと思ったのです。
ちいさな子供は世界についてまだまだ知らないことがたくさんあって、大人のように常識的なことを了解していません。つまり、物事の意味を一つに決めつけるということをしていない、固まっていない存在なんだと考えると、天才の存在ととても似ているように思えます。天才は、子供のような視点を失わずに大人でいられる人間、という考え方もできるかなあ、と。

意味を一つに限定したり、わかりやすくして飲み込むことにすっかり慣れてしまうと、わかりづらいもの、役に立たないものはどんどんと切り捨てられてしまい、価値があるものとないものとがはっきりと分けられていってしまう気がします。
ここ数年で、自分自身の興味のあったものが明らかに変化した…というか、興味の範囲が狭まってしまったように感じていたのはこういうことだったのかしら、と、この小説を読んで腑に落ちたように感じたのです。意識を広げていられれば、世界はもっと広いって、知っていたはずなのに……なんだか、そう考えるとさびしいですね。
大人になってから、年齢を重ねていってから、より多くの物事を吸収するということは、思っているよりずっと難しいのかもしれません。
この小説を読みながら、あちらこちらで感じたもの悲しさはこのためかな、と、この文を書きながら思ったり。




なんだか抽象的でとりとめのないことをずらずらと書いてしまいましたが(論文か)、こんなふうに考えることのきっかけがたくさん詰まっている、私にとってはとても刺激的な読書でした^^
気力が続けば、このS&Mシリーズを全部読破したいな~とひそかに思ってます。
結局小説自体の感想にはなってないなー(^^;)まあいいか…
拙い長文お読みいただき、ありがとうございました。










2014.11.24 | 読書 | Comment:0 | TrackBack:0
「ロリポップ」って言葉がありますが、「砂糖菓子」って意味だったのですね。実質的な腹の足しにならない、甘いお菓子。すぐに溶けて消えてしまう飴玉のような。
お菓子は腹の足しにならないけれど、美味しいものです。


この「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」という小説、タイトルがいいなあと思って気になって読み始めたんですが、なんか想像以上にはまってしまい、ぐいぐい読み進んであっという間に読み終わってしまいました。
読み終わってからタイトルを見返すと、ひしひしと胸に迫ってきてなんとも切なく苦しい気持ちになります…
正直、ちょっとライトノベルのような話かもと思っていたのですが(失礼)、予想以上にヘビーで心を捕まれてしまいました。


かなり衝撃的な出だしで始まるこのお話は悲劇です。この出だしを知っているから読んでてつらくなる…でも読むのを途中でやめられなくなるのです。


かなり冷めた目で先の人生を考えている、自衛隊志望の中学生の主人公なぎさ(冷めているのは、やむにやまれぬ事情があるのですが)同様、私も嘘つきできれいで汚くて可哀想な女の子・海野藻屑にハマってしまいました。藻屑は怖いけど、はたから見たら頭おかしい女の子だけど、でも嫌いになれない。嫌いになれずに愛しくなってきてしまう。

なにせ名前がすんごいインパクトです。あと登場の仕方がすごく秀逸です。ここで海野藻屑を魅力的だ、なんだこの子と興味を持ってしまったが最後、きっとこの物語を見届けたくなります。


どこか将来に絶望している中学生に、森絵都の「つきのふね」を思い出したり、魅力的なのに残酷で幸せからはほど遠い場所にいる女の子の存在に江國香織の「落下する夕方」を思い出したりもしました。

あと個人的に、主人公なぎさのひきこもりの兄が、何もしない生活をしていたのに、妹のために行動を起こす場面は感動しました。兄妹の絆。


全然感想がまとまってないけど、上質な悲劇であることは確かです!
桜庭一樹さんの小説初めて読みましたが、ほかの作品も読んでみようかしらんと気になってきました。


魅力的なタイトルの小説はやっぱり魅力的なのだ、と思った次第。
... 続きを読む
2012.09.30 | 読書 | Comment:0 | TrackBack:0
ちょこちょこ本を読んだりしてるのですが、最近はなかなか感想を書けずにいました。。
って読書したら必ず感想を書いてたわけでもないんですが^^;


簡単に最近読んだ本とその感想をば勝手に書いてみます。




●川上未映子「わたくし率 イン 歯ー、または世界」

2008年に「乳と卵」という作品で芥川賞をとったかたの、違う小説。読んだの去年の年末くらいですが…
関西弁の、なかなか切れ目のない文章が最初読みづらいなあと思ってたんですが、慣れるとふしぎにさくさく読めました。むしろ、テンポが心地いい。主人公の脳内の独白をずらずらずらーと書いてる感じに、気づくと引き込まれてました。
主人公の語りが主体で話が展開され、ほかの登場人物の視点に切り替わることはないのですが、読んでいてなんだか、人間って自分のなかから出ることはできないのだなあ、自分が自分でいるかぎり、なんてことを感じた小説。


●絶望名人カフカの人生論

「誰よりも落ち込み、誰よりも弱音を吐き、誰よりも前に進もうとしなかった人間の言葉」という帯の言葉に目が止まってほとんど衝動買い。不条理文学の作家・フランツ=カフカが遺したメモや手紙の中から、頭木弘樹さんという方が格言的な言葉を抜き出してまとめた本になっています。
格言というとふつう、ものすごくポジティブで誰も反論できないような正論のイメージですが、この本の切り口は変わっていて、これでもかというくらいネガティブ~な言葉が次から次へと出てきます(笑)「いやいや、いくらなんでもそれは悲観的に考えすぎだろ!」と突っ込んでしまうような。落ち込んでるときに読むとなぜか逆に元気づけられるという不思議な本。何か失敗をしたときに人に話したら、「いや~私のほうがもっとひどい失敗たくさんやらかしてるよ~」って言われたときのような、あんな感じに似ているかも。つまり、「大丈夫」って言われている気持ちになるんだろうなあ。沈んだ気持ちに寄り添ってくれるというか。
そういうの抜きにしても、間についているコラムでカフカの生い立ちやひととなりを知ることができるのが、カフカ好きの私にはとてもうれしい本でした^^


●細川てんてん(変換できず…)さんの本 「ツレがうつになりまして。」と「その後のツレがうつになりまして。」

以前から気になっていたのを古本屋で見つけて購入。
エッセイマンガになっていてとても見やすく読みやすく、すぐ読んでしまいました^^
てんてんさんの旦那さんがうつ病になり、夫婦で支えあって回復に向かうまでのおはなし。うつ病についての正しい知識を得ることもできるし、でも何よりあたたかい夫婦愛を感じて、読み終わるころには心がぽかぽかしてました。旦那さんをそばで支えるてんてんさんの頑張りに心を打たれます…すごいと思いました。
イラストがほのぼのしていてかわいかった。マンガからにじみ出るてんてんさんの人柄がすごく好きです。
この流れでてんてんさんのほかの本「今日はぐっすり眠りたい。」も買ってしまいました^^

映画化されてますね。こちらも観てみたいー。


●太宰治「人間失格」「グッド・バイ」

これは「グッド・バイ」という短編目当てで買ったら、「人間失格」が同時収録されていました。
「グッド・バイ」は以前テレビで短編アニメーションがやっていて、そのときから気になっていたんですが、やっぱり面白かったです。歯切れのいいシンプルな文は朗読に向いてるなあ、とアニメ化に納得。読んでて気持ちいいんです^^
「キヌ子」という登場人物のキャラクターが生き生きしてとても魅力的なのです。きちんと着飾れば絶世の美人なのに、ふだんは汚い身なりをして、大食いで怪力で抜け目なくて、しゃべると声が悪い。なんだかマンガに出てきそう。主人公の田島という男との掛け合いがおもしろくて、もっと読みたいと思うところで未完のまま終わってしまっています。残念(><)
一緒に収録されている「人間失格」との対比がおもしろいです。明るい話と暗い話。
「人間失格」はたしか中学生のときに読んだのですが、いま読んでも新鮮な感じがしました。時間が経って、理解できる部分が増えたのかもしれないです。
太宰治の小説を読むと、とても繊細で女性的な文を書くなあといつも思います。文章はわかりやすいし。
『背後の高い窓から夕焼けの空が見え、鴎(かもめ)が、「女」という字みたいな形で飛んでいました』こんな文の書き方が好きです。


●本谷有希子「乱暴と待機」

こちらも映画版を観て以前から気になっていた小説。主要登場人物4人という限られた関係のすごくヘンテコな話。
まだ読み終わってないのですが、読みやすいのでさくさく読めます。人の気持ちを気にしすぎるあまり挙動不審になるヒロイン・奈々瀬がマンガのキャラみたい。ほかの登場人物もキャラが濃くて立っています。極端すぎてこんな人現実にはいないと思いますが、こんな人間関係の話は読んだことがないーっていうくらいヘンなはなしです。あまり規模の大きくない舞台でやるお芝居のような、独特な雰囲気があります。この人たちはどうなるの?と、行く末が気になるので、ぼちぼち続きを読んでいきます!
ちゃんと読み終わったら、また感想を書くかも。。




なかなか長くなってしまったので、今日はこのへんで!^^;
2012.03.21 | 読書 | Comment:0 | TrackBack:0
今読みたいな~と思っている本。


川上弘美さんの小説いろいろ(好きな作家さんなのでいろいろ読んでみたい)。

笙野頼子さんの小説何か(なんだかへんてこな話をけっこう書いてるようなので、おもしろそう)。

本谷有希子さんの小説(映画「乱暴と待機」をちょこっと見て、その原作を書いてる人ということで気になっています。名前をずっと「ほんたに」と読んでいました…^^;)


なんだか女性の作家さんばかりだなあ。。

男性の作家さんのを読むとなると、なぜか現代の人より昔の人のを読んでしまう傾向があります…なんでだろ。
カフカとか安部公房とか内田百あたりの不条理な感じが好きです^^


…よし、お金ないから図書館か古本屋に行こう!


ちなみに、今は川上さんの短編集「ハヅキさんのこと」をちょびちょび読んでますが、やはりいいです。
1編1編味わいぶかいです。
そういや江國さんも、短編はよかったなあ。
2011.06.30 | 読書 | Comment:0 | TrackBack:0
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。